
はじめに
転職活動の第一関門となる書類選考。「何を書けばいいかわからない」「新卒のときと同じ書き方でいいの?」と悩む方は少なくありません。
実は、採用担当者が履歴書に目を通す時間は平均わずか30秒〜1分程度と言われています。短い時間の中で「この人に会いたい」と思わせるには、押さえるべきポイントがあります。履歴書の書き方ひとつで書類選考の通過率は大きく変わるため、正しいフォーマットと書き方のコツを知っておくことは転職成功への第一歩です。
この記事では、転職エージェントとして年間数百枚の履歴書を見てきた経験から、書類選考を突破するための実践的なコツを網羅的にお伝えします。テンプレートの選び方から志望動機・自己PRの書き方まで、採用担当者が本当に見ているポイントを解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
なお、転職活動全体の流れを把握したうえで書類準備に取り組みたい方は、「転職活動の流れ|準備から入社までの全体スケジュールを徹底解説」もあわせてご覧ください。
1. 基本マナーを守るだけで上位に入れる
意外に思われるかもしれませんが、基本的なマナーが守れていない履歴書は少なくありません。採用担当者は毎日何十通もの応募書類に目を通しており、基本ができていないだけで「仕事の丁寧さにも不安がある」と判断されてしまうことがあります。まずは以下の点を確認しましょう。
証明写真で第一印象が決まる
- 3ヶ月以内に撮影したものを使用しましょう。転職活動が長引いている場合は撮り直すことをおすすめします。
- スマホの自撮りではなく、写真館や証明写真機で撮影するのがベストです。写真館であれば表情やポーズのアドバイスももらえるため、1,500円〜3,000円程度の投資に十分値します。
- 清潔感のある服装・表情を心がけましょう。男性はネクタイを締め、女性はナチュラルメイクが基本です。背景は白・青・グレーが定番です。
- 写真のサイズは縦4cm×横3cmが一般的です。履歴書のフォーマットによってサイズ指定が異なる場合もあるため、事前に確認してください。
日付・年号の統一ルール
- 日付は提出日(郵送なら投函日、メールなら送信日)を記載します。過去の日付のまま提出すると「使い回し」と判断される恐れがあります。
- 年号は和暦・西暦どちらでも構いませんが、書類全体で必ず統一してください。履歴書は西暦、職務経歴書は和暦、といったバラつきはNGです。
誤字脱字・空欄のチェック
- 誤字脱字は、一度書き上げたら時間を置いて読み返すか、第三者にチェックしてもらいましょう。変換ミスは意外と見落としがちです。「御社」と「貴社」の使い分けミスも多いので注意してください(書面では「貴社」、面接など口頭では「御社」)。
- 空欄を作らないことも重要です。資格欄に書くものがなければ「特になし」、本人希望欄には「貴社の規定に従います」と記載します。空欄は意欲の低さと受け取られることがあります。
これだけで、書類の印象は大きく変わります。基本マナーの徹底は、「この候補者は仕事でもきちんとした対応ができそうだ」という信頼感に直結します。
2. 履歴書のフォーマット・テンプレートの選び方
履歴書のフォーマットにはいくつかの種類があり、自分の状況に合ったテンプレートを選ぶことが重要です。フォーマット選びを間違えると、自分の強みを十分にアピールできなかったり、逆に弱点が目立ってしまったりすることがあります。
代表的な履歴書フォーマットの種類
フォーマット | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
JIS規格 | もっとも一般的。学歴・職歴欄が広い | 職歴が多い方、転職回数が多い方 |
転職用 | 志望動機・自己PR欄が広い | 未経験職種への転職、キャリアチェンジ |
一般用 | 趣味・特技欄がある | 第二新卒、職歴が少ない方 |
テンプレートの入手方法
履歴書のテンプレートは、以下の方法で入手・ダウンロードできます。
- 転職サイトからダウンロード — 大手転職サイトでは、Word・Excel・PDF形式の履歴書テンプレートを無料で提供しています。
- ハローワーク — 厚生労働省推奨のJIS規格に準拠した履歴書をダウンロードできます。
- 転職エージェント経由 — エージェントが独自のテンプレートを用意していることもあります。Nine Lives Careerでもご登録いただいた方にフォーマットをお渡ししています。
サイズはA4が主流
履歴書のサイズは、以前はB5(見開きB4)が主流でしたが、現在はA4サイズ(見開きA3)が標準です。PC作成の場合はA4で2枚にまとめるのが一般的です。企業からの指定がなければA4を選びましょう。
3. 職歴欄は「成果」を意識して書く
転職の履歴書でもっとも重要なのが職歴欄です。新卒時と違い、これまでの実務経験をどう伝えるかが勝負になります。採用担当者は職歴欄を通じて、「この人が入社したら何ができるのか」を判断しています。
NG例と改善例で見る書き方のコツ
ありがちなNG例:
株式会社〇〇 営業部に配属。法人営業を担当。
改善例:
株式会社〇〇 営業部にて法人営業を担当。製造業を中心に約50社を担当し、2年連続で部門目標達成率120%を記録。
ポイントは「どんな規模で」「何を」「どんな成果を出したか」を具体的に書くことです。数字で表現できる実績があれば積極的に盛り込みましょう。
数字にしづらい職種の場合
事務職やバックオフィス系の方は、数値化しにくいと感じるかもしれません。その場合は以下のような表現が効果的です。
- 「業務改善の提案が採用され、月間の処理時間を約20%短縮」
- 「後輩5名の育成を任され、全員が半年以内に独り立ち」
- 「社内マニュアルを整備し、引き継ぎ期間を従来の半分に短縮」
役割や信頼の広がりを伝える表現を意識しましょう。
職歴欄と職務経歴書の使い分け
職歴欄だけでは書ききれないほど詳しくアピールしたい場合は、職務経歴書に詳細を記載しましょう。履歴書は概要、職務経歴書は詳細という役割分担を意識することで、両方の書類の完成度が上がります。
4. 志望動機は「なぜこの会社なのか」に答える
採用担当者が志望動機で見ているのは、「うちの会社でなければならない理由」が書かれているかどうかです。どの会社にも当てはまる汎用的な文章は見抜かれます。
志望動機に盛り込むべき3つの要素
- 転職の理由 — 現職で感じた課題や、今後実現したいこと
- その会社を選んだ理由 — 事業内容・企業理念・成長性など、具体的な魅力
- 自分が貢献できること — これまでの経験をどう活かせるか
この3つがストーリーとしてつながっていると、説得力のある志望動機になります。
NG例と改善例
NG例:
成長できる環境に惹かれました。社会貢献性の高い事業に共感しました。
改善例:
前職のSaaS営業で培ったコンサルティング営業力を、貴社の〇〇事業の拡大フェーズで活かしたいと考えています。特に貴社が掲げる「△△」というビジョンに共感しており、私のこれまでの法人提案経験が、新規顧客開拓において貢献できると確信しています。
企業研究の深め方
志望動機を書く際には、企業のホームページだけでなく、IR情報や採用ページの社員インタビュー、ニュース記事なども参考にしましょう。こうした情報源から企業の課題や将来の方向性を読み取り、自分の経験と結びつけることで、「この人は本当にうちの会社のことを調べている」という印象を与えることができます。
企業研究が苦手な方は、求人票の見方を理解するところから始めると、効率的に企業の求める人物像を把握できます。
5. 自己PRは「再現性」がカギ
自己PRでは、単に「コミュニケーション力があります」と書いても伝わりません。大切なのは、入社後にも同じ力を発揮できると思わせること(=再現性)です。
おすすめの4ステップフレームワーク
自己PRは「強み → エピソード → 成果 → 入社後の活かし方」の4ステップで構成すると、論理的で説得力のある内容になります。
見本(自己PR例文):
私の強みは、顧客の潜在的な課題を引き出すヒアリング力です。前職では既存顧客への定期訪問時に業務フローの聞き取りを行い、顧客自身が気づいていなかった非効率を改善する提案を実施。結果として年間のアップセル額が前年比150%となりました。貴社でも、この経験を活かしてクライアントへの提案の質を高めたいと考えています。
第三者の目を活用する
書き上げた自己PRは、第三者に読んでもらうのも効果的です。自分では気づかない曖昧な表現や伝わりにくい箇所を指摘してもらえます。転職エージェントに添削を依頼するのも良いでしょう。プロの視点からフィードバックをもらうことで、自分では気づけなかったアピールポイントが見つかることもあります。
自己PRで避けるべき表現
- 「何でもできます」「どんな仕事にも対応します」 — 具体性がなく、強みが伝わりません
- 「御社で成長したい」 — 企業は即戦力を求めています。貢献できることを先に述べましょう
- 短所をそのまま書く — 短所に触れる場合は、克服に向けた具体的な取り組みとセットで記載します
6. 転職回数が多い場合の書き方
転職回数が多いことを不安に感じる方もいらっしゃいますが、書き方次第で印象は大きく変わります。
一貫性のあるキャリアストーリーを作る
- 一貫性を示す — 業界や職種に共通点があれば、「〇〇領域での経験を深めてきた」という軸を示しましょう。
- 各社での学びを明確にする — 「A社で△△を習得し、B社でそれを活かして□□に取り組んだ」とキャリアの積み上げを表現します。副業・複業からの転職のように多様なキャリアをお持ちの方は、それぞれの経験で得たスキルの関連性を示すことがポイントです。
短期離職がある場合の対処法
- 事実を正直に、ただし前向きな表現で書きましょう。言い訳が長くなるのは逆効果です。
- 「〇ヶ月と短い在籍期間でしたが、△△のスキルを習得しました」のように、短い期間でも得たものがあることを端的に伝えます。
転職回数が3回以上の場合、面接で理由を深掘りされることがほとんどです。履歴書の段階で「一貫したキャリアの軸」を示しておくことで、面接でも自信を持って説明できるようになります。面接の準備については「転職面接の基本マナーと流れ」で詳しく解説しています。
7. 手書きとパソコン作成、どちらを選ぶべきか
「履歴書は手書きが常識」と思われている方もいますが、近年はパソコン作成が主流になりつつあります。
手書きとPC作成の比較
手書き | パソコン作成 | |
|---|---|---|
メリット | 丁寧さ・誠意が伝わりやすい | 読みやすい、修正が容易、複数社への応募に効率的 |
デメリット | 修正に時間がかかる、字に自信がないと逆効果 | 個性が出しにくい |
向いている場面 | 企業から手書き指定がある場合 | 特に指定がない場合、IT・Web系企業 |
PC作成時の注意点
企業から特に指定がなければ、パソコン作成で問題ありません。採用担当者が重視しているのは書き方ではなく内容です。PC作成の場合は以下の点に注意しましょう。
- PDF形式で保存する — WordやExcelのまま送ると、相手の環境でレイアウトが崩れる恐れがあります
- ファイル名は「履歴書_氏名.pdf」のようにわかりやすくする
- フォントは明朝体やゴシック体など読みやすいものを選ぶ。サイズは10.5〜11ptが標準
- カラー印刷は不要。白黒で読みやすいレイアウトを心がける
ただし、手書きを指定している企業もあるため、応募要項は必ず確認しましょう。求人票の読み方がわからない場合は、「求人票の見方」の記事も参考にしてください。
8. 学歴・資格欄の正しい書き方
学歴欄や資格欄は軽視されがちですが、正確に記載することで採用担当者への信頼感が高まります。
学歴欄のルール
- 転職の場合は高校卒業以降から書くのが一般的です(中学卒業から書く必要はありません)
- 学校名は正式名称で記載します。「〇〇高校」ではなく「〇〇県立〇〇高等学校」
- 学部・学科・コース名も省略せず書きましょう。学歴の記載に不安がある方は転職と学歴の関係もあわせてご確認ください
- 中退の場合は「〇〇大学 〇〇学部 中途退学」と記載し、理由を簡潔に添えます(例:「家庭の事情により」「一身上の都合により」)
資格欄の書き方
- 応募先の業務に関連する資格を優先的に記載しましょう
- 資格名は正式名称で書きます。「簿記2級」ではなく「日商簿記検定2級」
- 取得年月も正確に記載してください
- 現在勉強中の資格があれば「〇〇 取得に向けて学習中」と書くことで向上心をアピールできます
- 書くものがなければ「特になし」と記載し、空欄にはしません
9. 本人希望欄・趣味欄の活用法
本人希望欄や趣味・特技欄は「とりあえず埋める」だけになりがちですが、上手に活用すれば好印象を与えられるパートです。
本人希望欄の注意点
- 基本的には「貴社の規定に従います」と記載するのが無難です
- 複数の職種で募集がある場合は「〇〇職を希望いたします」と明記しましょう
- 勤務地や給与の希望を細かく書きすぎると「融通が利かない」と思われるリスクがあります。条件面は面接や内定後に交渉する方がスムーズです
趣味・特技欄の活用
- 面接の際のアイスブレイクに使われることが多いパートです
- 仕事に関連する趣味(例:プログラミング、読書ジャンル、語学)があれば積極的に記載しましょう
- 「特になし」でも問題ありませんが、人柄を伝えるチャンスとして活用できます
よくある質問
Q. 履歴書はテンプレートをそのまま使ってもいい?
はい、テンプレートをそのまま使用して問題ありません。大切なのはフォーマットのデザインではなく、記載する内容です。転職サイトやハローワークで無料ダウンロードできるテンプレートを活用し、自分の強みが伝わる内容を記載することに注力しましょう。ただし、志望動機欄や自己PR欄の広さが自分に合ったフォーマットを選ぶことは重要です。
Q. 履歴書に書く志望動機と職務経歴書の志望動機は同じでいい?
基本的なメッセージは統一しつつ、書き分けるのが理想です。履歴書の志望動機欄はスペースが限られているため、要点を簡潔にまとめます。一方、職務経歴書ではより詳しいエピソードや背景を補足しましょう。両方の書類を読んだときに内容が矛盾しないよう注意してください。職務経歴書の書き方も参考にしてみてください。
Q. 転職回数が多いと不利になる?
回数だけで不利になるとは限りません。重要なのは「なぜ転職したのか」「各社で何を得たのか」を論理的に説明できるかどうかです。キャリアに一貫した軸があることを示せれば、むしろ「多様な環境で成果を出してきた人」という評価を得られる可能性もあります。不安な方は転職エージェントに相談して、客観的なアドバイスをもらうのがおすすめです。
Q. 履歴書の写真はスマホで撮ったものでもOK?
基本的にはNGです。スマホ撮影は背景や明るさにムラが出やすく、ビジネス文書としてふさわしくない印象を与えてしまいます。証明写真機(700〜1,000円程度)でも十分ですが、写真館(1,500〜3,000円程度)で撮影すると、表情や姿勢のアドバイスまでもらえるため、余裕があれば写真館の利用をおすすめします。
Q. 履歴書はメールで送ってもいい?
はい、企業から指定がなければメールやWeb応募システム経由での提出が一般的です。その際はPDF形式で送付し、ファイル名を「履歴書_氏名.pdf」のようにわかりやすくしてください。メール本文には簡潔な挨拶文を添えましょう。なお、パスワード付きZIPファイルでの送付を求められることもあるため、応募要項をよく確認してください。
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まとめ
履歴書は「自分という商品のカタログ」です。採用担当者が短い時間で魅力を感じられるよう、基本マナーの徹底・成果の数値化・具体的な志望動機・説得力ある自己PRを意識して書いてみてください。
また、履歴書は一度書いて終わりではなく、応募先ごとに志望動機や自己PRを調整することが大切です。使い回しの履歴書は採用担当者に見抜かれやすいため、企業研究をしたうえで内容をカスタマイズしましょう。
とはいえ、客観的に自分の強みを言語化するのは難しいものです。「これでいいのかな」と迷ったときは、転職のプロに相談するのも一つの方法です。
Nine Lives Career では、履歴書・職務経歴書の添削から面接対策まで、一人ひとりに寄り添ったサポートを行っています。テンプレートの選び方や書き方のコツも個別にアドバイスいたしますので、まずはお気軽にご相談ください。